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月刊Rowing 2006年11月号/12月・1月合併号 より転載
NPO宮ヶ瀬湖ボートクラブ 立花栄治 ◆序曲「スイス遠漕に行ってみないか?」こう問いかけてきたのは、イチローこと、大学同期の艇友谷内一郎君。去年の8月にどっさりと写真アルバムを携えて清川村に住む私を訪ねてきたときのことだった。その写真は6月18日から25日までオランダで行われたWorld Rowing Tourで撮ったものだ。7日間毎日20〜30キロ漕ぎ続けるという話に度肝をぬかれたが、世界各国から集まったオアズマン達といかにも楽しげに交流している写真に惹かれた。それにしても還暦を過ぎてそんな過酷な漕艇が可能だろうか。私は大学1年の時に一度だけ銚子遠漕(5泊6日240キロ)に参加したことがある。ボート部員としての唯一の誇らしい思い出であり、「遠漕」と聞いただけで懐かしさがこみ上げてくる。2006年の開催地がスイスと知っては山好きの私はじっとしていられない。しばらくして、イチローの畏友芳野法一氏(ノリイチさん)の「オランダ大遠漕」と題した報告の原稿をいち早く読ませてもらい、火に油が注がれた。「七人の侍」に出てくる長老の声が聞こえた。「やるべし!」 宮ヶ瀬湖ボートクラブで一緒に漕ぐ仲間にもさっそくこの話を披露した。東丹沢の山々に囲まれた湖で日頃「漫漕」と称して、のんびり気ままにクオドルプルを漕ぐことを楽しんでいるだけに、皆一様に深い関心を示す。なかでも競漕漫漕なんでもござれの三原邦夫氏(クニオさん)がまだ仕事現役ながら、いち早く参加を決断。 月間ローイング誌に芳野報告が掲載されればすぐに参加希望者が殺到するだろうと予想して、早速二人で所属ボートクラブの推薦を受け、10月末にJARAの推薦をお願いした。定員80名だというので先着順だと勝手に思いこんでいたが、そうではなく主催者のFISAが選抜して4月に参加者を決定するとわかった。 無事合格を祈る受験生の気持ちで年を越すことになった。 その後、当然のようにイチローさんとノリイチさんが鶴見川マスターズRCの推薦を受けて申し込んだ。このお二人はオランダ遠漕で知り合った仲間から誘いを受け、私的行事の第32回"Vogalonga"べニツィア・ボートマラソンに参加してきたばかりだった。この大会は、参加数1402艇、5180人という規模だそうだ。1人漕ぎであれ、18人漕ぎのゴンドラであれ、とにかく人力で漕ぐ限り参加資格がある大会ということだ。 さらにイチローさんと親しい岸田光祐氏(コウスケさん)が参加表明。すでに世界マスターズに数年間参加しているが、今年は同時期開催のマスターズを断念して、遠漕に挑戦してみようと決意。羨ましいことに、ご夫人のヨーコさんも一緒。お二人は三菱ボートクラブの推薦である。これで6人が揃った。 待ちに待った合格発表は、4月12日に主催国スイスの責任者リコ・ラング氏からメールで飛び込んできた。はじめからDear Eijiとあって親しみが湧く。スイスでお会いしま しょう、と結んであった。いよいよ夢が実現するという喜びと9月までに長距離漕に耐えられる漕力をつけなくてはという思いで久々に胸にときめきを覚えた。6人全員合格の朗報。 こんな思いを分かち合おうと参加者が全員集まることにした。5月26日に宮ヶ瀬湖に参集し、揃ってクオドルプルとダブルを漕ぎ、お互いの夢を語り合った。岸田夫妻がダブルを漕ぐ姿を眺めながら、大学時代の数え歌を思い出した。「♪よっつとせ、欲を申せば彼の君とペアで遠漕がしてみたい」。オランダ遠漕経験者の二人から、主催国役員への土産物を準備しようという提案があり、何にするかは宿題となった。遠漕は長く座ったままなので、シートパッドを用意した方がいいという助言ももらった。いよいよ具体性を帯びてきていやが上にも気分が高まる。スイスでどんな景色とどんな人々との出会いがあるのだろうか。 6月に、イチローさんが参加費をまとめて送金してくれた。参加費は117,000円。8泊9日で宿泊費・3食付き(ただし自由行動日夕食と期間中飲酒代は各自負担)で、毎日いやと言うほど漕げるのだから、安いと言わねばならない。 7月に、リコさんからホテル部屋割り当て希望などの質問状や参加者名簿がメールで送られてきた。そこには、9月までにしっかり体力をつけて一日25〜30キロ漕げるようにしておいてくださいとあった。長丁場の遠漕を途中リタイアにならぬようにと身の引き締まる思いで熟読した。 |
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