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艇の性能を表す諸元としては、艇重量、艇体型、剛性、艇体の表面性等多くの項目があります。ここでは、一番重要である艇体の剛性についての説明と、現在弊社で行なっているテスト内容について述べます。 ◆なぜ硬くて軽い艇なのか日本国内製ボート(主に規格艇)と海外高級レース艇との主な差異は艇剛性と艇重量にあります。硬く作るためには同じ材料と工法なら多量の材料を使って補強するしかありません。その結果、艇重量は増します。艇重量を増さないで硬く造る技術が求められています。柔らかい艇体は漕手の発揮したエネルギーを吸収してロスを生みます。重い艇体は艇を沈めて水との接触面積が増え抵抗を増加させます。ある程度の艇体重量は慣性力が発生して、艇推進には有効との説をとなえるコーチもいますが、艇の加減速パターンは艇重量増加による慣性力に頼らず、ローイングテクニックを向上させて改善しないことには効率が悪いと言えます。従って、艇は軽く硬い方が有効であることは明白です。 硬い艇を造るためにより強度の高い材料を使い、構造を工夫する必要があります。具体的にはガラスファイバーよりカーボンファイバーを艇体のハルの構造に使うこと、単板のFRP(Fiber Reinforce Plastic=繊維強化プラスチック)よりもハニカム等はさんで厚みを増すサンドイッチ構造にすることです。これらはいずれも製造コストを上昇させ価格が高くなる要素です。その結果、財力=競技力になってはあまり良いことではありません。この目的でFISA(国際ボート連盟)やJARA(日本ボート協会)では艇重量の下限値をルールとして設けて、レース時には艇重量をチェックすることになったのです。 これらは現代科学技術の進歩でお金さえかければいくらでも硬くて軽い艇が作れるという環境にあると云えます。この一般工業技術、特に航空機製造技術とは共通(軽くて強いこと)することが多く、参考になる訳です。 ◆艇体の構造の種類剛性が高く、艇重量が軽くなる程、価格は高くなります。分かりやすくするために、それぞれの工法の1×艇での標準的な重量も添記します。なお、FISA規格重量は14s以上、日本ボート協会規格艇では16.0±0.5kgとなっています。FRP単板(18s) FRP/発泡体サンドイッチ(15〜16s) FRP/ハニカムサンドイッチ(13〜14.5s) プリプレグ/ハニカムサンドイッチ(12s) ◆剛性の表現項目とテスト日本ボート協会規格艇では縦剛性、ねじり剛性、リガー剛性の三種類のテストで規格基準を満たすことが義務付けられています。桑野造船では規格艇以外の生産艇、及び他社艇についても同じ方法でテストを行い製品の性能評価、向上に活用しています。 T縦剛性 ウマの間隔を1X=5m、2X=7m、4+/4X+=9mとし、中央部荷重を各々20kgとした時のたわみの大きさ(mm)を計測します。剛性が低いと、漕手が乗った場合にトップとスターンが持ち上がって設計した船型とは違った形で水面に浮かぶことになったり、1ストローク毎の変形が大きくなるため、船体廻りの水流が乱れやすくなり摩擦抵抗が増大する恐れがあります。 Uねじり剛性 ストロークとバウのメインフレーム間に固定ウマ、可動ウマを設置し、可動ウマ側に4kg−mのトルク(可動ウマ中心軸より0.4mの位置に10kgの荷重)を掛けた時のねじれの大きさ(deg.)で表します。 スイープ種目ではシートにより入力の方向が違うため、常にねじれが発生します。スカル種目でも二名以上の漕手がバランスを取り合うような場面ではねじれが発生します。ねじり剛性が低い場合には正確なブレード操作がしにくかったり、バランスが不安定で漕ぎ難い等の問題が起こります。 Vリガー剛性 リガーを10kgの荷重で上方へ引き上げた時の変形量(mm)で表します。 リガーに加わる力はローイングサイクルの各部分で様々ですが、このテストの場合は、ドライブ前半に発生するリガーを上方に押し上げる力に相当します。 リガー剛性が低い場合にはドライブ中のカバー角変化が大きくなったり、フィニッシュでのドロップダウンを大きくしないとブレードがクリーンに抜き上げられなかったりと漕ぎにくくなります。 ◆剛性テスト結果の例
注:予告なしにデータを更新します。 |
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