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古川 宗壽 古琵琶湖から現代にいたる長い歴史のなかで人間や生物は自然のままの琵琶湖と共存してきた。しかし、ここ半世紀にも満たない間に人間の手が大きく加えられることとなった。自然の脅威から生活を守り、豊かな水資源が無限にあるかのような前提で琵琶湖を最大限利用することが近代文明であり、そのためにわれわれ人間が都合のいいように自然をコントロールできる。このような錯覚さえしていたと考える。近年になって自然からのしっぺ返しかと思われるような現象が多発している。生態系の激変、水質や自然景観の破壊がそれである。先祖代々から農家として近江に住み、琵琶湖の恵みをうけてきた者として古里を守り伝えていく責任を覚え、今回の応募に至った。また、高校時代からボート競技をはじめ毎日のように50年もの間、湖面と瀬田川に浮んで変わり行く水辺を実際に見てきた経験は貴重な証言者であると自負している。そして自分の青春を支えてきてくれたこの水域に大きな感謝の念をもっている。 高校卒業後は社会人のチームでボートを漕ぎ続けて国内の多くの水域でのレガッタに出場をしてわが国の河川や湖沼の様子も見てきた。その後は日本代表選手として海外に出る機会を得た。さらには日本代表チーム監督として12年間に渡り、世界選手権、オリンピック等に参加し、欧米の多くの水辺やその景観に触れてきた。60歳をこえた今は世界中のマスターズ大会に毎年出場して世界の水上スポーツ文化との交流を続けている。その中で我が国とそれらの国々での河川の管理についての違いが多いことに気づき、強い危機感と問題意識を持つに至った。 10年前からは堅田の船大工をルーツにする競技用ボート製造会社の経営を引き継ぎ創業143年の伝統を守ることに日夜奮闘している。かたや、30数年前に自ら結成を主導した「総合型地域スポーツクラブ NPO法人瀬田漕艇倶楽部」の活動を通じて琵琶湖の恵みを利用し自然と住民の共存文化創造をスローガンに水上スポーツの総合スポーツクラブへの発展を目指している。 近年の琵琶湖と河川の流域管理は防災と水資源開発を最優先で行われて来たと理解している。100年に一度の確率で起こる洪水による被害から地域を守る名目で護岸等の整備が進められてきた。しかし、人間の知恵が自然を制御できるとのおごりは否定できず、完全な対策などあり得ないとさえ考える。どのように自然と向き合い柔軟に共存するかの発想が欠落している。 例えば100年を越えるスパンでやってくる洪水とか今後予想される異常気象に実際に対処できるのか。琵琶湖の周りの多くの水門や護岸を水も漏らさない完璧なものにするのは膨大な費用ばかりか人間の知恵では及ばないことが多いのは明白である。総てについて自然と対抗して行くのではなく、自然を柔軟に受け容れて共生する道を模索することが大切である。私の見聞してきた海外の諸国では自然条件が違うとはいえ、ここらの配慮と歴史を感じる。 私は湖沼、河川管理の専門家ではないが長年、琵琶湖と瀬田川を愛して生きてきた住民の一人として自然をいかしてどのように共存するかのテーマにたいして積極的に意見を述べ、関われる機会と考えて今回の応募を決意した。 2010年10月 滋賀県 琵琶湖淀川の流域管理に関する検討委員会の公募委員に応募した時の提出文章です。 |
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