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「冬でも湖にでる。風も波もまたこれ自然だ。それを楽しんでいる。仕事場まで湖上通勤することもある。」 私は大いに刺激をうけました。我々は静水の人口的環境で、しかも安全まで他人に守られて漕ぐことに最近は慣れすぎている。このことに改めて気付いたのです。 それからはローイングと言えばレガッタ行事しかない日本のレース偏重ローイングの実態が、益々気に入らなくなってきました。 『年寄りまでレースばかりやって、勝った負けたの話だけだ』『レガッタには自然との触れ合いはない。そういう点で戸田は最低やのに最高と思っている若者が多いのはどこか狂てるのと違うか。ほんとうのボートの楽しさを教えるコーチはいないのか』『たとえ俺が琵琶湖に沈んでも自分の責任や。放っておいてくれ、安全基準は俺の中にあるんや』・・・・。次々に限りなく怒りにちかい感情がこみ上げてきます。 私の湖上通勤は瀬田のクラブハウスから会社のある堅田までの南湖縦断約17kmです。大した距離ではありませんが、何しろ大自然の中ですからコースで漕ぐ気分とは違います。初日は天気図を精査しながら決行日を決めるまで相当慎重でした。艇内には防水袋いり携帯電話、浮き輪、補給水を積みました。着替えは予め到着先に運んでおきました。 今回のレポートは最近の湖上通勤3往復分です。堅田(*1)の湖岸にある会社に出勤するわけですから瀬田→堅田の往路は総て早朝で、復路は仕事を終えた夕方です。会社にボート乗艇桟橋があるのは我社くらいかもしれないです。造船所やから威張ることはないかもしれませんがすばらしいでしょう? 私の場合は自宅からクラブまでの自転車移動の10km漕ぎが湖上通勤に追加されます。 2006年6月19日(往路)今朝の湖面は静かそうなので余裕をかましてクラブ駐車場の草刈りをした。桟橋を蹴り出したのはいつもより30分遅れの6時35分になった。ところが静かな予定の湖面に西風が吹き始めて波立ってきた。急遽、北から風上の西方向の浜大津に艇首を転換した。波のない西岸側に付くのに30分ほどかかってしまった。それから堅田に向けて北へ転進を開始した時は追い風と波になっていた。ところが段々と向い北風に変わってきた。追い波が消えて向い波がたつまでは双方の波が干渉、相殺してしばらく静かになるだろう。その間に堅田に到着すればいいや、と考えた。ところが、双方向の波が複雑にたつ極めて困難な湖面になってきた。「俺の知恵も大したことないな」なんて自嘲しながら苦闘のうえ到着。所用時間は最長の95分かかってしまった。琵琶湖は風向きがくるくる変わるのが特徴なのだ。2006年6月23日(復路)北風の追い微風で最高だ。最短コースを途って、67分の新記録だった。でも南湖は浅いので湖の中央部でも何かの目印なのかブイや竹竿がやたらと刺してあって前方確認はたびたびする要があった。2006年6月26日(往路)終始追い風がふいていた。しかしガスがかかって見通しが悪かったが見当をつけて漕ぎ続けているうちに会社が見えてきた。後半はバス釣りのモータの波が多くて手こずる。「おまえらだけの琵琶湖と違うぞ。波をたてるな!」とぶつぶつ言いながら到着。追い風なのに80分もかかってしまった。2006年6月28日(復路)風、波なし。しかし、またまた我がボートのすぐそばを何艇ものバス釣りモータボートが駆け抜けた。いい加減 にしてくれ!何んでそんなにぶっ飛ばすのか。察するところ急いで釣りのポイントを移動するのがいい格好になるらしい。エンジンは150馬力くらいありそうだ。このエコ時代になんやこれは。2006年6月30日(往路)波、風なし。今朝は楽しみながらゆっくり漕いだ。太陽がでてきたら湖面が深い紺緑色になったのは吸い込まれそうで爽快をこえて気味が悪かった。2006年7月4日(復路)南湖の状況もかなり熟知して最短コースどりも容易になってきた。記録に挑戦して66分の新記録。30本ごとのON /OFFくらいが疲れなくて飽きない。約23回で目的地に付く。大したトレーニング量ではないが自然がいっぱいで空気が美味のがいい。しばらくは全日本社会人に出場のために瀬田川水域でレース・コンデイショニングをやるつもりでいますから湖上通勤はお休みです。 レースから戻ったら60分切りに挑戦すること。そして昔、BRC=琵琶湖ローイングクラブ(*2)の主宰者、中川良太郎大先輩は琵琶湖一周を11時間あまりで漕がれたそうです。この記録に挑戦することです。最終的には琵琶湖ツアー(周航)現代版標準コースを策定して、日本中いや世界中から琵琶湖ローイングツアーに参加してくれるようにすることです。
万一の事故でも起こしたらアホな誰かが「琵琶湖沖合でのボート漕ぎは禁止」なんて言いだしかねないでしょう。そうなっては自分はともかく今後の挑戦者に申し訳なく、死に切れませんわ・・・(笑)。なので充分に注意しながらも、過激に挑戦することにします。 古川 宗寿 (瀬田漕艇倶楽部会報7月号 投稿原稿) (*1)堅田 |
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