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湖上通勤もこうなっては止めるのは体裁が悪いのと、お陰で体重も81kgから76kgになって健康状態もすこぶる良いと言う余録にも授かりました。一方ではでっぷりと貫禄?あったのが痩せてお爺ちゃんらしくなったとの感想もあってこちらはマイナス評価でしょうか。でも、5kg減るのは言い換えれば5kg軽い艇に乗ったのと同じで、以前の私と比べれば12kgのシングル・スカル艇に乗り換えたのと同じ価値になります。高価な艇を我々の楽しみレベルが買う意味が無いことを証明しているようなものです。 ここで私の愛艇を紹介します。2年前にカーボン・フアイバー製の自艇を売り払って古い木造艇を手にいれました。ニスをたっぷり塗ってぴかぴかにリフォームして漕いでいます。 17kgありますが感触が優しくて気に入っています。もはや昔のように強くは漕げないので不要なバックスティ(注@)は取り外しました。三角形の邪魔がないので担ぐ時や船台からの蹴り出しがやり易いのが気に入っています。 既に4月から60才以上の種目で既に5大会で金メダルを獲得しました。ということは春から8レース負け無しの快進撃です。そこで今、クラブの現役女子選手に夕飯をかけて競争しないか、と挑戦状を出したところ確かなアタリがあります。何か、新しい目標があるとがむしゃらに頑張ってしまうという悪い癖が私にはあります。 結婚はボートに障害か?突然の飛躍した話にびっくりされたでしょう。実は柄にもなく結婚指輪(注A)をしているのです。これが掌にまめを作る原因となって困っています。 かばい続けながら漕いだ結果、隣の中指までが腱鞘炎になってしまいました。いっそのこと外してやろうかとも考えるのですが、紛失した場合を想像したら恐ろしくて決断が着きません。その理由、分かるでしょう。腱鞘炎でも指が取れてしまうのではないので我慢して漕ぐことにしています。 さて、本論に戻りますが湖上通勤のその後は裕に10往復は越えました。気温もかなり上昇しており、それが原因か藻が増えて、最短コース取りは難しく、62分の記録更新は困難な状況です。湖も生温いお風呂のようです。 実は飲料水を艇に積むのは艇の重量を増すだけで、記録更新のマイナスになるとの判断で止めました。艇の周りの琵琶湖には水がいっぱいあるのだからそれを手ですくって飲むことにしたのです。 野蛮人! なんて声が聞こえそうですがそれをいうなら自然人とでも言ってください。「藻のだし」が出ていて、ちょうど温かい、わかめスープの琵琶湖版とでも思ってください。でも近畿地方の人達や皆さんも同じ水を飲んでるんですよ。浄化している? そんなの一部の物質を濾しているだけです。ほとんど私の飲んでいる水と同じだと気づいて下されば、誤解と軽蔑は解けます。 「艇速は艇体と水との表面摩擦抵抗が大部分を決める」ということを聞いたことがありますか。つまり、水温が高いと水の粘性が低くて抵抗が少なくなるのです。この効果は意外にも無視できない大きさなのです。(注B)だから今が記録更新のチャンスなのです。水温が高い9月中には挑戦しないと、更新の可能性は低くなるでしょう。例えば先日、戸田でインカレがありましたがこの記録を6月の全日本選手権記録と比較するのは実は意味の無いことなのです。 記録更新のために研究していることがあと一つあります。力漕と休息比率の設定です。頭初は30/30ストロークのON/OFFでしたが、平均速度が充分に確保出来ません。高速道路を使っての長距離ドライブと同じで高速でぶつ飛ばすことより、休まないことが平均速度をあげて到着が速くなることをご存じだと思います。それと同じだと理屈に気が付きました。 30/20 か20/10がいいのか、90%強度のステデイ漕ぎか? 結論は30ストロークも強く漕ぐと乳酸性無酸素領域に入ってしまい疲労がたまり後半持たない。それ以外の平均的に負荷を掛ける手法が有酸素運動を維持できて結果が期待できると言うものです。しかし、変化が全く無いのもまた疲れます。皆さんのご意見はいかがでしょうか。 湖上は相変わらずバス釣りのモーターボートの波に悩まされています。実にマナーが良くないのです。平気で我が艇の横をすり抜けていきます。新しい嘉田由紀子滋賀県知事は湖上でモーターボートを楽しむ人から2009年から「湖上レジャー税」を取ることを検討しているとか、大賛成です。彼らが起こす波はすべて石油エネルギーですからこれだけでも許せませんよね。まさか人力ボートの我々からは取らないでしょうから・・。彼らには自然に感謝しながら楽しむと言うスタンスが低いよと言ってやりたいです。 この前の朝は、蹴り出し時に少し波があったがその内に静かになるかもしれないと都合の良い予測をして湖上に出たことがあります。意外に波が高くて、迷いながら矢橋沖まで行きました。でも勇気ある撤退を決意して艇庫に引き返しました。艇庫から出勤途上の社員に電話して会社まで乗せて行ってもらい、事なきを得ました。しかし、堅田に着いた頃には波は無くなっていました。結果的には私のはじめの予感は正しくて、矢橋沖での撤退は間違っていたのですが猪突猛進型にしては良い判断をしたと思い、自分を賞めています。湖上通勤では初めての体験でした。 最後の話題です。普段は年を考えて片路しか漕がないのですが中井君に負けじと1日で往復に挑戦しました。往路の朝は台風接近の予報が出ていたので天気予報を鵜呑みにするしか知恵のない(ごめんなさい)バス釣りのお兄さん達は湖上には皆無でした。波も風もなく、かってない快適ローイングを楽しむことが出来ました。 ところが夕方の復路は風、波、最後は夕立の気配で苦闘しました。日頃の慢心に琵琶湖の神様のバチが当たったのかもしれません。ハンドルがぬれたまま漕いだので、掌の皮がはがれ痛くて痛くて困りました。このような場合は手袋(注C)が必用なことを納得しました。それと昼食を摂ってから時間が経っていたので空腹がひどく最後は力が入らなくなりました。水分とエネルギー補給、保護具と天候観察は充分留意するべきです。誰かのように体が痙攣する事態は論外で危険ですよ。 気合いと根性だけでは乗り切れないのが長漕ぎです。そして、水温の低い冬季は落水時のリスクが高いので琵琶湖沖への単独行は絶対にやってはなりません。 古川 宗寿 (瀬田漕艇倶楽部会報9月号 投稿原稿) 注@ |
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