限られた活動予算の中から、出艇用の桟橋を設置するのは大変です。アルキメデスの原理を応用して、簡単で安価な費用で桟橋を作れます。
使いやすさにつながる設計のポイントは、桟橋の浮く高さ(水面と桟橋上面までの高さ)が15cm前後で、人が乗っている時と無荷重で浮いている時の高低差が少ないことです。
◆T基本仕様
- 人力で運搬・設置が可能なためには2×4mの平面寸法をおすすめします。大きさが必要な場合は、このユニットを連結します。高さ(厚さ)は20〜22cmとして、浮かべた場合の沈み代を5〜7cmとします。
- 浮体は発泡スチロールを使います。市販の新品なら浮力が大きいので、桟橋の高さ(厚さ)は18〜20cmでいいでしょう。ここでは梱包廃材を利用する場合を説明します。
- 枠の構造材は鉄骨(L型5×5×4t)の溶接構造とする。浮体に使う発泡スチロール屑が流出しないように金網(3φ×50網目)を底面と側面に貼ります。
- 天板は浮体の浮力を受け止める役割もあるので、腐らないで強度も十分であることが必要です。鉄骨部の寿命とのバランスから、可能なら人工木材か、防腐処理をした杉板が良いでしょう。この天板を、浮体を挿入した後、鉄枠に直接タッピングネジ(6φSUS)で留めます。
◆U浮力設計
ボート用の浮桟橋としては、水面高さが15cm以下で、無荷重状態と人が乗った時の沈み代の差が小さいことが前提となります。
- 浮体
発泡スチロール屑は凸凹があるので、鉄枠へ挿入する場合、よほど努力しても占積率は0.6程度です(スチロール0.6/空間0.4の割合の意味)。従って、浮力は体積の6割程度しか得られません。ここで重要なのは、浮体が平面全域に均等に挿入されることです。でないと、人が乗った時の傾きが増加します。
- 鉄枠・天板の重量
前述の仕様で、2×4m(金網付)の鉄枠を作り、天板を貼ると、概算重量は
浮桟橋重量(kg)
= 0.27m3(鉄枠総体積)×7.9×10-3(鉄の比重)+50kg(天板)+0kg(浮体)
≒ 260kg
- 浮力計算
4+艇の出艇として使用するなら2×4m×3連結とすると、
無荷重時沈み量 = 0.27×0.260t(重量)/2×12×0.6t(浮力)
≒5.4cm
ボートと人が乗った時の沈み量 = 0.27×0.260t+0.4t(重量)/2×12×0.6t(浮力)
≒8.2cm
◆V製作
- 鉄材を溶接加工して枠を作り、底面と側面に金網を貼る。
- 係留用のフックと、2個以上連結する場合の連結用板、穴を事前に作っておく。
- 発泡スチロールを詰める。細かく砕いて隙間をなくして占積率0.6をキープする。
- 天板を鉄枠に6φ程度のタッピングネジで止める。天板で浮力をすべて受け止めるので、十分な個数のタッピングネジを打ち込む。
◆W設置とメンテナンス
- 人力にて水面に運び、浮かせる。
- 必要な面積になるように、製作数を選び、水上で連結する。
(連結用板と穴は事前に作っておく。)
- あらかじめ設けておいた、係留用のフックを使い、陸側にロープ等で固定する。
参考資料 桟橋図面 / 鉄枠外観 / 製作例
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