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◆その12001年11月。上海に行ってきました。その理由は8月末の欧州造船所訪問行脚にあります。ヨーロッパの造船所では社長室での応対だけで実はどこのメーカも工場の製造現場を見せてくれなかったのです。同業造船所のオヤジにはみせられん。他のみんなにも断っているからお前だけとはいかない。この一点張りでした。ハニカム新艇試作に入る前にどうしてもヨーロッパ先進メーカの艇を作る工程を従業員と共にこの目で確かめておきたかったのです。ハニカム(HONEYCOMB)とは紙等で作られた3〜8mm厚さの蜂の巣状のシートを艇体スキン内に挟み込んで、艇体剛性を向上させる工法です。事故時の耐水性や吸水による経年変化の弱点はあるが高級レース艇に用いています。 そんなとき、生産委託している中国の某メーカが見学OKの返事をくれたのです。半信半疑のまま上海から杭州へ今度は製造現場の若い二人を連れて行ってきました。手間を掛けることを惜しまない工程は人件費がかかる日本ではそっくりは導入出来ません。更にみんな休みなくよく働く。 これでは品質が同じであったとしてもコストでは逆立ちしても日本は勝てません。しかも、品質もどんどん向上しています。ボートも一般工業製品と同じ状況にあるのです。 その点、おなじ土俵にある先進国メーカは手の内を見られたくなかったのは充分に理解できます。 なんといっても用具費が高く付くボート競技においては安くていい艇は重要です。FISA(国際ボート連盟)もこの点に関心がたかく、FISAのトレーニングセンターは50艇ほどの発注を中国メーカにしたそうです。 北欧4ヶ国と米国はトールニールセン氏が中国艇の代理店を始めます。 ハリソン氏は早くからカナダ西部で代理店をやっていましたが、こんどある有名造船所はコンテナ3個分の艇体を買ってパーツを装着して自社ブランドで発売を始める。ヨーロッパメーカも同じ動きをしています。まさにボートも中国が「世界の工場」に成りつつあります。みなさん、中国製なんてと言って馬鹿にして居る場合ではないのです。喜んで買ったヨーロッパ艇が実は中身は中国製だったなんて話は現実になっているのですから・・・。 ブランドばかりで中身を見ようとしない日本人を改めて、艇の性能をよく調べて使用目的に合った艇を購入するのがこれからの艇遊びの大切なことです。ボート選手の皆さんも考えを変えてください。 ◆その22002年6月の上海造船所訪問レポートです。中国でのボートの生産は益々加速しています。現在でも年間1200艇作れる!!なんて豪語していました。かのエンパッカ社(独)でもいいところ400〜500艇の生産ですから、段突の世界一のメーカーです。日・欧・米の各造船所のマークの入った艇が続々に作られているのを見ると正に世界の造船所です。この8月には10,000uの敷地を確保して新工場建設に入っています。桑野造船としては、日本国内の生産メーカーとしての機能は絶対に死守する覚悟です。それが国内のお客様へのサービス維持の為の源と考えるからです。艇種及びパーツごとに国内生産と中国生産をうまく使い分けてトータルでお客様に喜んでいただける品質と価格を責任をもって提供できるよう努力をして参ります。輸入商社にはないご満足を必ずお届けできるはずです。 古川 宗壽 |
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