桑野造船株式会社
お問合せ ご注文 見積依頼 ダウンロード 会社案内 
ボートオールカヌー・ドラゴンボートパーツ関連商品コース・施設記念品コラム
 

ボートは楽しいスポーツですが、少し油断をすれば命に関わる危険もあります。
安全対策としては、周りの状況確認、気象の把握などソフト面での対策も不可欠ですが、ここでは『用具に備わっている安全対策』や、『安全に使うための用具の特性』をご紹介します。
ボートの仕様、構造の対策
現在の艇構造材であるFRPは比重がほぼ1で、リガー等の金属艤装を加味すれば完全に浸水した場合には、ボートは水没する恐れがあります。これは極めて危険であり、FISAでも造船所に各種の規制を始めています。

※艇種・主材料によって比重の違いがあるため、無条件的に完全水没する場合としない場合もあります。

●浮力の確保 

【水没しない構造】
浮力を確保するため、独立した空間をつくり艇内が完全に浸水しないようにする。
【浸水では折れない強度】
カーボン繊維など、高剛性素材を使い、浸水による負荷にも耐えられる強度にする。
【折れても分離しない繊維構成】
アラミド繊維など、靱性の高い繊維を使い、万が一折れてしまった場合にも完全に分離してしまわない構造にする。

以前のボートは大半が密閉しておらず、浸水があった場合にすべてが水につかってしまう構造でした。(@)
今では独立空間を採用し、浸水しない空間を確保しています。(A)
さらに、一部分にだけ負荷がかかりすぎないように、導通管をもうけ、ボート全体に一様に浸水するよう工夫されているものも出てきています。(B)

また、KUWANOのWinTechシリーズでは、艇の動きによって浸水した水が出ていくよう排水路を設けています。(下の写真)

●密閉室の重要性

密閉室は『浮力の確保』という観点から見て極めて重要です。通常、船底に穴が空いても、水面より上部に空気のもれる隙間がなければ密閉室への浸水はわずかです。
しかし、ほんの少しでも空気の逃げ道があれば、浸水はあっという間におこってしまいます。ですので、日頃からボートの点検・整備を丁寧に行っておく必要があります。損傷が見つかった場合は、テープを貼ってほっておいたりすることなく、すぐに修理するようにしましょう。
ここに注意!

  • デッキ、キャンパスに穴が空いていないか。
  • コーナーテープがはがれたり、やぶれたりしていないか。
  • 水栓があるか。ゆるんでいないか。

●予備浮力の付加

KUWANOでは予備浮力として、キャンバス内に浮体(発泡スチロール)を自主的に挿入しています。
(日本ボート協会規格艇、ナックルフォア艇)

旧式規格艇(平成7年以前に製造)の場合は、キャンバス修理でボートをお預かりした時に、場合によって発泡スチロールを充填するようにしています。
また、カートリッジ式の発泡缶を無償提供していますので、必要な方は弊社までご連絡ください。注入方法は以下のとおりです。

前後の水栓部分から、キャンバス内へ浮体スプレー缶を注入します。1×艇には1缶、それ以外は2缶をご使用下さい。写真は、わかりやすいようにビニールキャンバスを取っていますが、実際の作業では取る必要はありません。
  • なるべく左右均等になるよう注入して下さい。
  • 発泡体は浮体として硬化するのに多少の時間を要しますので、注入直後の乗艇は避けて下さい。
  • 1缶500gで約14gの発泡体が発生し、13s以上の浮力が得られます。
    なお、この作業により1缶使用あたり500g艇重量が増加します。
  • この浮体注入処置は完全なる安全を保障するものではありません。その一部を補完するに過ぎません。日常の艇整備・安全確認は十分にお願いします

●装備の重要性

ボートに施された安全対策も、正しく使用しなければ意味がありません。乗艇前には以下の部分の点検を行うようにしましょう。
ここに注意

  • 各部が確実に固定されているか。
      リガー付け根、ローロック周辺、ストレッチャー など
  • ストレッチャーシューズの紐がきちんと結ばれているか。
      かかと紐は短く確実に (浮き上がり幅は必要最低限に調整)
      甲部の紐は連結する (脱ぎやすいように)
  • リガーや金属パーツ部等に劣化などの問題はないか。
      腐食に対する注意(特に海水地域は電触対策をおこなう)

 1/ 次へ

桑野造船株式会社  〒520-0357 滋賀県大津市山百合の丘10-1 TEL 077-598-8090 FAX 077-598-2505 E-mail kuwano@k-boat.co.jp