桑野造船株式会社
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ボートオールカヌー・ドラゴンボートパーツ関連商品コース・施設記念品コラム
 
エルゴ出力とスカル出力の関係について
北九州ローイングクラブの松野氏からおもしろい論文をお送りいただきました。
その一部ですが、『エルゴとスカルのタイム差から、スカルの技術レベルを推定する』という、部分をご紹介します。このコラムを読んでくださっている皆さんも、ご自身の技術レベルをぜひ一度判定してみてはいかがでしょうか。

松野 範衛 氏 
2005年全日本社会人選手権
男子シングルスカル60歳以上の部 チャンピオン

現在、“自分で設計したボートで漕ぐ”という夢に向かって、積極的に活動されています。

エルゴ→スカル パワー損失比 基本式
スカルの全抵抗Rs(kg)は、スカルスピードVS(m/s)に対して、近似的に
RS = AΔ2/3VS2 と表され、スカルを進めるための有効パワーWU(W)も同様に
WU = AgΔ2/3VS3 と表すことができる。
(Aは定数。スカルの全抵抗の理論式から大胆な簡略化を行い得た数値。単位は{(kg1/3)S2}/m2

一般的なスカルでは、係数Aを特定することができ、
  RS = 0.0148Δ2/3VS2
  WU = 0.0148gΔ2/3VS3 を使用することができる。

一方、コンセプト社のエルゴメータに関しても、抵抗RE(kg)とスピードVE(m/s)に対して、
  RE = 0.285VE2 であり、エルゴで発生されるパワーWE(W)は
  WE = 0.285gVE3 となる。

エルゴパワーWEは、漕手がローイングモーションから取り出せる最大パワーであったので、WL = WE - WU からその漕手のスカル上のパワー損失WL(W)を知ることができる。

エルゴとスカルの差は次の4点(Δ,θ,β,η)にまとめることができよう。
  1. Δ(重量排水量)、したがって漕手体重は、スカル抵抗に関係するが、エルゴでは体重は無関係である。Δの影響はすでに上記近似式の中に取り込んである。
  2. スカルには、オールのサークル運動からくる物理的必然といえる損失がある。sinロスとでもいうべき損失で、以下、損失比をθで表す。
  3. スカルには、主としてバランス不安定からくる、不投入パワーがある。(持っているのに投入できなかったパワー。)バランスロスとでもいうべき損失で、損失比をβで表す。
  4. スカルには、オール(ブレード)の取り扱い(キャッチ、フィニッシュ、水平さ、左右の均一性、etc)からくる、不経済パワーがある。(投入しても推進のためには有効に使われなかったパワー。)ブレードロスとでもいうべき損失で、損失比をηで表す。
以上より、パワー損失比は WU/WE = 1- (WL/WE) = (1-θ)(1-β)(1-η) となる。
また、θはキャッチ40°、フィニッシュ130°でほぼ全漕手共通であり、θ ≒ 0.1 とおけるので
WU/WE = 0.9(1-β)(1-η) = 0.0519Δ2/3(VS/VE)3 が得られる。


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