桑野造船株式会社
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エルゴ出力とスカル出力の関係について
代表的な選手の総合効率(パワー損失比)
エルゴの記録は、毎年コンセプト社から世界ランキングとして発表される。オリンピック等の世界上位は、エルゴ成績でも世界上位にあり、スカルタイムや体重等もわかりやすい。代表的な選手に関して以下にピックアップしてみる。
(記録は1999〜2000のデータ、スカルは静水推定)
  • Rob Waddell 【エルゴ世界記録保持者 シドニー五輪金メダリスト】
     エルゴ : 5'38"3/2000m (5.91m/s)
     スカル : 7'00"0/2000m (4.76m/s)    ※体重100kg
  • Daisaku Takeda 【JPNチャンピオン】
     エルゴ : 6'23"5/2000m (5.22m/s)
     スカル : 7'15"0/2000m (4.60m/s)    ※体重70kg
  • Norie Matsuno 【65歳マスターズスカラー】
     エルゴ : 1'40"0/500m (5.00m/s)
     スカル : 2'10"0/500m (3.85m/s)     ※体重85kg
したがって、エルゴに対するスカルの総合効率(パワー損失比)は、
  • R. Waddell WU/WE = 381/577 = 0.660 ∴(1-β)(1-η) = 0.773
  • D. Takeda  WU/WE = 284/398 = 0.713 ∴(1-β)(1-η) = 0.793
  • N. Matsuno WU/WE = 184/349 = 0.527 ∴(1-β)(1-η) = 0.586
のように求めることができる。D. Takedaは、エルゴ世界ランキングでは100位に入れないが、スカルは速い。すなわち、総合効率0.793は技術的に世界の最高レベルで、技術的限界に近いものと考えられる。
これから見て、スカルの技術到達の最高レベルをβ = 0.1, η= 0.1にとって、
(1-β)(1-η) = 0.81を通常到達限界と考えておくことにする。

 (β, η)limit = (0.1, 0.1) のように表記するとわかりやすい。

この表記方法を用いて、各漕手の技術レベルを表すと、
D.Takedaはバランスロスβは最高レベルに到達しているとして、
(β, η)T = (0.1, 0.12)
R.Waddellは、オリンピックチャンピオンであり、η = 0.15にはきているはずとして
(β, η)W = (0.14, 0.15)
N.Matsunoは、感覚的にη = 0.2と考えると
(β, η)M = (0.27, 0.2)
となり、推定誤差はあるとしても、配分上の違和感はない。

R.Waddellは、オリンピックチャンピオンではあるが、D.Takedaから見ると、バランスロス4%、ブレードロス3%の改良の余地がある。しかし、これらの技術的課題を乗り越えて、パワーで漕ぎ抜くパワースカラーと言えよう。

N.Matsunoは、D.Takedaに対して、バランスロス17%、ブレードロス8%と大きな差があり、またR.Waddellに対してもバランスロス13%、ブレードロス5%の差がある。スカル漕ぎとしては、技術的に初歩レベルで、持てるパワーを生かせていない状況にあることがわかる。

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