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◆漕艇5日目9月8日合計26キロ予定変更 ジール運河往復18キロ いつもの通り7時半センター前に集合し、バスで昨日の終着地エパニエールに向かう。厚い雲が空を覆い、先行き不安。ビール湖を横断する予定だが、西からの強風が予想される。入念なキャプテン打ち合わせが行われる。今日のキャプテンはアルフ(ノルウェー)。クルーメンバーは、ポール(アメリカ)、ヘンリック(デンマーク)、そして女性1人イングリッド(ドイツ)。男性は皆、私より背が高い。ヘンリックは2m近い。イングリッドが舵を引き、ポール、アルフ、ヘンリックと並び、私がバウを漕ぐ。 ヘンリックの漕ぎに合わせようと、必死に前傾し腕を伸ばすが、とてもかなわない。あとでそのことを言うと、あれでも随分遠慮して腕をいっぱいに伸ばさぬようにしていたのだと言う。こんな大男が長い手足を十分生かして漕いだなら、日本人漕手はとてもかなわないと実感する。 ヌシャテル湖からすぐに運河に入る。この運河は、ビール湖畔が湿地帯で大雨のたびに氾濫したために、それを防ぐためにできたものだ。幅50m以上はあるかという運河で、両岸に柳やらなにやら銀色に輝く木々がそびえていて、湖の大海原を漕ぐのとは違う喜びがある。「♪ああ、川の流れのように、おだやかに、この身をまかせていたい、ああ、川の流れのように、いつまでも青いせせらぎを聞きながら」の気分だ。 湖上遊覧を楽しむ大型客船が航行している。大勢の観光客が手を振る。スイープならこちらもお返しができるが、この艇では舵手だけが手を振って応える。次第に風が吹き、波が大きくなってきた。そんな中でも白鳥の親子が静かに泳いでいる。夫婦が4羽の子どもを連れている姿がほほえましい。 ビール湖入り口に、モーターボートに乗ったリコさんが待っている。強風のためビール湖横断は断念するので、引き返せ、という指示。同じルートをエパニエルに向かって漕ぎ進む。逆波が立つようになり当然の判断と思う。 上陸して、ビール湖東端にバスで移動。そこにビール湖クラブ(See Club Biel)の艇庫がある。役員ベッティーナの所属するクラブである。そこのシャワー室と更衣室を利用して、着替えを済ませ、自由行動となる。私は真っ先にシャワー室に駆け込んだが、2室しかなく、大男達が行列を作っているのが、外から丸見えだ。子どものような私はちんまり。女子シャワー室も同じような作りで、なんとも開放的である。 元気なクニオさんは湖畔ジョグを楽しむという。私は「♪知らない街を歩いてみたい、どこか遠くへ行きたい」という思いで、1人でビール市内を散策することにする。美しい人々を眺め、店に入って片言のフランス語を使ってみたり、旧市街の石畳を歩いてから、カフェでビールを一杯飲む。 約束の5時に艇庫に戻ると、ビール湖クラブ主催の野外歓迎パーティーの準備ができている。ビールと地元自慢のワインが出される。SCBのTシャツを着た女子高生たちが酒をついでくれる。久々に見る若者である。 高校に部活動はないので、このクラブでボートを楽しんでいるという。しばし歓談していると、そこに男子マーク君が現れる。エイトを漕いでいるというので、君はヒーローだね、というと、女子諸君に冷やかされながらも嬉しそうだ。気持ちのよい若者達だ。私もワインの酔いもあって大分はしゃいでしまった。 標高差500mはあるセンターまでケーブルカーに乗って帰る。 |
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